バイバイ長い夢
冷たい空気が髪をなぶって、遥か遠くへ駆けて行った。
それを見送って、目線をそのまま、横に立つネウロへと向ける。
右手はネウロの左手をしっかり握って離さない。
地上から800メートルも離れたこの場所で、私達は空気の上に立っていて、私を支えるものは、ネウロの左手だけ。
けれどネウロは私に冷たい冷たい横顔を晒していて。
視線は、どこか遠くを、風たちが行くその先よりももっと遠くを見つめて、そして二度と帰ってこない。
悲しくなってうつむけば、眼下には忙しない町並みが。
ああ、愛すべき日常、けれどそこにネウロの住む場所は無いから。
綺麗な空気、でもネウロには必要無いの。
優しい日常の中でぬくぬくとしている時、
ふと、このまま遠くへ行ってしまいたいだなんて思う時があって。
全て捨てて、二人で、二人きりで、消えてしまえたら、なんて。
どうしようもないくらい、二人きりになりたい、だなんて。
そんな風に、思う時があって。
ネウロはまるで夢のように唐突に現れたから、
きっといつか夢のように消えてしまうの。
その前に、幕を閉じたくて。
幕を閉じて、全て閉じ込めて、後は全部楽屋の中で、二人きりで。
中途半端な寸劇に、観客が腹を立てたって、構うもんですか。
何故か悲しくなった。泣きそう。
私達は同じところに行くために、今こうしてここにいるのに。
私はどうしてこんな恋を。
こんな恋をしたの?
ネウロはまだ一歩を踏み出さない。
私は早く、とネウロを急かさない。
握り締めた右手に、更に力をこめる。
「どうした?ヤコよ。怖いのか?」
そうして振り返ったネウロが少し微笑むから、
「怖くなんてないよ」
と強がりじゃなく言えた。
つないだ手が暖かいから、もう、悲しくなんかないわ。
そして私の頬を滑り落ちた涙は、地上に降り注ぎ、誰かの頬を濡らすでしょう。
その時には、バイバイ、長い夢。
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何も無い上空から「飛び降り心中」があったと当局に連絡が入ったのは、○月×日未明のことだった。
その時刻にその近辺を飛んでいた飛行機等は皆無であり、
二人がどこから飛び降りたのか、大きな謎となって話題を呼んでいる。
4444HITリクのSSでっす。
都さんのリクどおり、ヤコを泣かせました。
こんなんでOK?都さん。
相変わらず暗くて死にネタでごめんなさい!
あ、分かりにくいですが心中だったりします。
ネウヤコ心中。
だんだん何か違う方向へ行っている気がします。
20050710 烏兔