記憶よりもおぼろげで幻よりも確かな うららかな日差しが気持ちいいね。 穏やかな午後、町並みはそっと秋色に染まりつつあって。 空もほんのりオレンジ色だね。 まだ風はそんなに冷たくないよ。 けど、手の中に包み込んだティカップのぬくもりは手放したくないな。 一つ目のケーキはもう食べちゃって、白いお皿が少し寂しい感じ。 もう一つ、注文しようかどうか、少し迷ってる。 ああ、なんて平和な日々。 今はもう、過ぎ去った穏やかな日々。 今では街中のカフェでのんびりお茶をすることも出来ない。 空を見上げてのんびり歩くことも出来ない。 これも全部、あんたのせいよ、ネウロ。 あんたが私の平和な日々を奪ってどこか遠く私の見えないところに持っていってしまったせい。 そのせいで私はこんなに天気のいい休日の午後に、薄暗いビルの一室にこもっていなければならない。 どんなに睨みつけても、ネウロの視線はパソコンの画面に釘付けだし。 私は退屈に押しつぶされてペッチャンコになりそうだし。 だからと言って事件が舞い込んできたらそれはそれで困るわけだし。 もうどうにもこうにもならないわ。 でもね、ネウロ。 あんたが来て、私にはいいことなんて数えるほどしかなかったけれど、 それでも私は、 あんたが来なければ良かった、なんて思ったりはしないんだよ? これがどういうことだか、あんたにわかるかしら。 うららかな日差しが気持ちいいね。 穏やかな午後、町並みはそっと秋色に染まりつつあって。 空もほんのりオレンジ色だね。 まだ風はそんなに冷たくないよ。 けど、手の中に包み込んだティカップのぬくもりは手放したくないな。 一つ目のケーキはもう食べちゃって、白いお皿が少し寂しい感じ。 もう一つ、注文しようかどうか、少し迷ってる。 ああ、なんて平和な日々。 再び舞い戻った、私の暮らし。 事件も、喧騒も無い、平和な日々。 けれど、こんなものを私は望んじゃいなかったのに。 一度たりとも、望んじゃいなかったのに。 奪ってよネウロ。私の暮らしも私のことも。 それが出来ないなら、記憶だけでも、攫っていって欲しかった。 秋の風は、これから冷たくなっていくよ。 これがどういうことか、あんたにわかるのかしら? 寂しいんだよって言葉にしたって、あんたは鼻で笑うんでしょうけれど。
 
 
 
 

 
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